今日は「自己分析」をテーマに、お話を進めていきたいと思います。
本日の内容は2つのパートに分かれていまして、前半が「自己分析の本質」、そして後半が「自己分析のやり方」、つまり“how”の部分になります。
この2つを3段構えの流れで動画を構成しています。
それぞれ、有名な方々の考え方や優れたフレームワークを参考にしながら、内容を詰めてきました。
今まで何百人と向き合ってきた中での実感も込めています。
まず、「自己分析の本質」についてお話します。
ここをしっかり理解してもらうことが何よりも大切です。
“how”の部分は、あくまでも“how”でしかありません。
本質を理解していないと、何を目的に就活しているのかが分からなくなってしまうんですよね。
就活の意義をきちんと考えた上で、自己分析の立ち位置を整理していきましょう。
この前半部分については、涼香さんという元ピアニストであり、その後、USJの再建を成功させたことで有名な方の言葉をもとに進めていきます。
彼女がある記事で語っていたことが、まさに就活の本質を突いていると感じたので、ぜひ紹介させてください。
就活は「会社に入ること」ではなく「価値を生むこと」
就活というと、「どの会社に入るか」が中心になりがちですが、実際には「どんな仕事に就くのか」「自分は何ができるのか」が大切なんです。
なぜなら、自分の強みを理解していなければ、本当に価値ある仕事はできません。
働くということは、誰かのために、または誰かに対して価値を提供すること。
では、その価値をどう生み出すのか?
それは、自分の強みを活かせるフィールドでこそ実現できる、ということなんです。
涼香さんはこう言っています。
まず、自分の「好きなこと」「得意なこと」を掘り下げてみましょう。
その中には必ず、大なり小なりの成功体験があるはずです。
その成功体験には、あなたの強みが発揮された要素が含まれている。
だからこそ、それを抽象化していくことで、自分の「強み」が見えてくるというわけです。
そして、その強みを活かせる場こそが「働く場所」になるんです。
自分の「好き」を見つけるための3つの“縁”
自分の「好きなこと」を見つける方法として、涼香さんは“3つの縁”を意識すべきだと話しています。
まず、中心にあるのが「バリュー(価値観)」です。
次に、それを囲むようにあるのが「コンピテンシー(能力)」。
さらにその外側が「スキル(専門性)」という構造です。
この中で「コンピテンシー」は、業界や職種に関係なく活かせる力のことを指します。
一方で「スキル」は、努力や実務経験を通して身につけていく専門能力のことです。
涼香さんは、「会社ではなく職能(職務内容)で仕事を選ぶべき」と述べています。
日本の新卒就活は会社ベースで進むため、どうしても“どの会社に入るか”が主軸になりますが、本来は“自分がどう働きたいか”をベースにすべきだということです。
「会社と結婚するのではなく、職能と結婚する」
涼香さんの言葉で印象的だったのが、「会社と結婚するんじゃない。職能と結婚するんだ」という表現です。
つまり、自分の強みを活かせる職能、たとえばマーケティングやファイナンス、広報などの分野に注目して、その中から仕事を選ぶべきだということです。
さらに、その職能を磨きたいからこの仕事を選ぶ、という視点も大事だと強調されています。
これが就活の本質ではないかと、彼女は提起しているんです。
100万分の1の存在になるために必要なこと
「100万分の1の人材を目指せ」という考え方があります。
ここでいう“100万分の1”になるには、2つのパターンがあります。
1つ目は、1つの職能で突き抜けて100万分の1になる。
2つ目は、3つの職能でそれぞれ100分の1になり、それを掛け算するという方法です。
後者の方が、実現しやすいんですよね。
前者は、たとえばイチローのように一つの分野で圧倒的な結果を出す人たち。
これは相当難しい道です。
でも、3つの職能で100分の1になれば、それでも100万分の1になれます。
このためには、1つの領域に全力で3年間取り組むこと。
それを3セット行えば、10年で100万分の1になれる計算です。
職能を掛け算して「唯一無二」になっていく
たとえば、僕自身の話をすると、今は商社で働きつつ、パーソナルサクセスの支援や、YouTubeなど企業に近いことも並行して行っています。
それぞれの領域で、まだ十分に時間をかけられていないものもありますが、経験を重ねていくことで、マーケットバリューが明らかに上がっていると実感しています。
仮に、僕が同じ会社でずっと同じ職能だけをやっていたら、ここまでの価値にはならなかったと思います。
違う職能に挑戦し、経験を積んできたからこそ、価値の掛け算ができているんです。
たとえば、伊藤忠で経理をしていた重松さんは、ファイナンスや会計の職能をベースに、その後YouTubeや経営という新たな職能と掛け合わせて、唯一無二の存在になっています。
もしさらにもう一つの職能を加えることができれば、本当に“100万分の1”の存在になれるはずです。
T・C・Lの3分類で考える、自分の職能の方向性
職能を選ぶ上で「T・C・L」という3分類が参考になります。
- T(Thinking):考える力
- C(Communication):伝える力
- L(Leadership):人を巻き込んでゴールに導く力
自分がこの3つのうち、どこに強みがあるかを考えることで、職能の方向性が見えてきます。
たとえば、Tが強い人はコンサルタントや研究職、マーケティングに向いています。
Cが強い人は営業や広報、ジャーナリスト、プロデューサーに向いています。
Lが強い人は、経営者やプロジェクトマネージャー、管理職に適性があります。
涼香さんは「将来、経営者になりたい」という目標を持っていました。
自己分析の結果、自分はTとLが強く、Cは苦手だと認識したそうです。
その結果、マーケティングの道を選び、P&Gなどの企業でキャリアを築いていきました。
自己分析を通じて、自分の強みを掛け合わせる
僕の場合、就活の段階ではC(コミュニケーション)が強みだと思っていて、商社の営業を選びました。
その後、スタートアップやYouTubeなどの経験を通して、TやLの領域も鍛えている最中です。
重松さんも経理やファイナンスというTの強みをベースに、YouTubeや経営というLの領域を掛け合わせて、自分の価値を高めています。
このように、自分の強みを複数の職能で掛け合わせることが、自分自身の市場価値を高めていく大きな鍵になるのではないでしょうか。
就活における「強み」とは何か?
自己分析を通して、自分の「強み」を見つけることが就活の出発点。自分の好きなこと・成功体験・価値観・コンピテンシー(思考力・コミュ力・リーダーシップ)をもとに、自分の適性や志望企業を選ぶ土台になる。
職能(スキル領域)ベースで会社を選ぶという視点
日本の企業は職種別採用が主流ではないものの、「どんな仕事をしたいか」という軸を持って会社選びをすると、志望理由の説得力が増す。
「今から選べること」は多くないと思う年齢になってからこそ、就活生の“選べる自由”は貴重。若さは挑戦できる特権。思い切って選択することが大切。
自己分析の実践方法は「メモ」と「抽象化」
走力・前田氏の著書『メモの魔力』をベースに、自己分析の方法として「日々の事象→抽象化→応用」という思考プロセスを紹介。これはESや面接でも活きる力。
【① 感情に基づいて期間を区切る
小・中・高といった形式的な区切り方ではなく、「サッカーに熱中していた時期」「メンタルが落ち込んでいた時期」など、自分の感情や価値観の変化に合わせて区切りましょう。
② 中学生以前を丁寧に振り返る
価値観や人間関係の基盤は中学までに形成されることが多いと言われています。この時期を丁寧に分析することで、自分の本質的な部分が見えてきます。
③ 感情が大きく動いた“変曲点”に注目
感情が急激に上がったり下がったりしたタイミングに着目しましょう。そこにこそ、あなたの価値観を映し出すヒントがあります。
④ 感情に「標語」をつけて言語化する
単なる事実だけを並べるのではなく、「そのときの感情」を短い言葉で表現してみましょう。
たとえば「受験に合格した」ではなく、「浪人が報われた瞬間」といった標語をつけることで、自分の感じたことがよりリアルに浮かび上がってきます。
この「感情にラベルを貼る作業」が、価値観の可視化につながります。
ライフチャート作成の4つのポイント
- 感情の区切りで期間を分ける
- 中学時代以前を重視する
- 感情が大きく動いたタイミングを掘り下げる
- 感情を一言で表す「標語」をつける
就活生にとって、6月の面接解禁前の時期は差がつくタイミング。
まずやるべきは自己分析。サマーインターン前にしっかり自己を見つめ、良いスタートを切ろう。