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ベンチャー企業に向いている人の特徴とは?現役社長が語る「見極めポイント」3選

今日は「ベンチャー企業に向いている人の特徴」についてお話を伺いたくて、田中さんに来ていただきました。現在、売上10億円のベンチャー企業を経営されているとのことですが、創業何年目になりますか?

——今、8年目です。

なるほど、かなり長く続けてこられているので、その中で「今、ベンチャー企業に入るべきかどうか」っていうのも見えてきていると思うんですよね。そのあたり、詳しくお聞きしていきたいと思います。

目次

ベンチャー企業に向いている人の特徴【その1:自分ごと化できる人】

——何個くらい特徴があるとお考えですか?

3つあります。

ありがとうございます。それでは順に教えていただきたいのですが、まず前提としてベンチャー企業って、変化が激しくて、スピード感も求められるし、ものすごく負荷がかかる職場だと思うんです。そういう環境の中でどう立ち回るかがすごく重要だと感じていて、まず1つ目の特徴としては「いろんな問題を自分ごと化できる人」ですね。

——具体的にはどういう感じでしょうか?

たとえば、誰かのせいにしようと思えばいくらでもできる環境なんですよ。ベンチャー企業って、入社してもあまり仕事を教えてもらえなかったり、こんな少人数で回るわけないじゃん、という状況があったりします。お金もない中でどうやってユーザーを増やすのか、とか。

だからもう「ないことだらけ」なんです、ベンチャー企業って。それを「お金がないから」とか「人がいないから」と環境のせいにしていても何も始まらない。そういうときに「どうやったらこの状況を打破できるか?」と考える発想が必要で、それって結局、自分ごと化できていないとできないんですよ。

環境のせいにしていると、「これが悪いから無理」と思考が止まってしまいます。でも自分ごと化することで、「じゃあ、人がいない中でどう回すか?」「お金がない中でどう集客するか?」といった建設的な思考に変わっていく。

——つまり、他人のせいにせず、自分で解決しようとするマインドが根本にある人、ということですね。

そういうマインドを持っている人が、やっぱりベンチャーには向いていると思います。

ベンチャー企業に向いている人の特徴【その2:「検討しますマン」にならない人】

——2つ目の特徴は何でしょうか?

「検討しますマン」はダメですね。

——どういうことでしょう?

ベンチャー企業ってさっき言ったようにスピード感が命なんです。考えないといけないことは山ほどあるけど、それを「後で検討します」って後回しにしていくと、どんどん遅れてしまうんです。だから「検討します」ではなく、「決めます」と言える人が向いています。

もちろん、ちゃんと検討した方がいいこともあります。でも、それもただ「検討します」ではなくて、「こういう懸念があるので、来週いつまでにこういうふうに整理して判断します」と、期限と方針を示すことが大事なんです。

そうじゃないと、仕事がどんどん溜まっていって、結果的にパンクするんですよね。「検討しますマン」になってしまうと、どんどん流されてしまいます。

ベンチャー企業に向いている人の特徴【その3:自己開示ができる人】

——では、3つ目の特徴は何でしょう?

「自己開示がうまくできる人」ですね。

——どういう場面でですか?

ベンチャーって、ものすごくストレスフルな環境なんですよ。変化も大きいし、スピードも早い。仕事もどんどん振られてきます。そうなると、1人で抱え込んでしまう人は、ちょっと厳しいと思います。

だからこそ、「今こういう状況です」「今ちょっと厳しいです」「今つらいです」と、上司にしっかり伝えることができる自己開示力が必要なんです。

——でも、自己開示ってちょっと恥ずかしいというか、難しくないですか?

そうなんですよね。僕も昔そうだったんですけど、「自分のダメなところを見せちゃいけない」とか「弱みを見せたら見限られる」とか、思ってたんです。でも実はそれ、逆なんですよ。

僕も起業して数年間は、自分だけで何とかしないとと思って抱え込んでいました。たとえば会社の経営状況が厳しかったとき、社員にそれを言ったら不安になって辞めちゃうんじゃないかって思って、言えなかったんです。でも、ある時期から「もう言っちゃえ」と思って、「俺、ここできないから助けてほしい」って言ったら、逆にみんながすごく助けてくれるようになったんですよ。

——何年目くらいのときですか?

3〜4年目くらいですね。それまではメンタルも結構やられていて、メンタルクリニックに通っていたこともありました。

——そうなんですね、それはちょっと意外でした。

はい。でも、自己開示するようになってから、本当に変わりました。悪いこともきちんと伝えると、周囲は逆に「じゃあこうしようか」と一緒に考えてくれるんですよ。たとえば、上司に「今ちょっとしんどいです」と言うことで、「じゃあここは俺がやるよ」「じゃあ一緒に打ち合わせ行こうか」っていう動きが出てきます。

自己開示って、実はめちゃくちゃ大事なスキルだと思っています。

——なるほど。つい「自分でなんとかしないと」と思ってしまいがちですが、結局、早めに周囲に頼った方がうまくいくってことですね。

そうです。結局、自分よりできる人に早く相談した方が、何事も早く進むんですよ。だから、自己開示して早めに相談できる人っていうのが、ベンチャー企業にすごく向いていると思います。

「ベンチャーに向いている人とは?」

──浮いてない人って、どんな人なんですか?

うーん、ベンチャー企業に行けば成長できるって思ってる人は、実は向いてない気がしますね。

──そうなんですね。でも、そういう目的で入る人って多くないですか?

多いですね。でも、確かに成長する可能性は高いんですよ。なんでかっていうと、やっぱり裁量権が大きいし、自分で決めなきゃいけない経験が早く訪れるので。ビジネスマンって、自分で決めた経験とか、自分で決めて失敗した経験、成功した経験、その数だけ成長すると思うんです。だから環境としては、すごく成長しやすいんですよ。

でも、じゃあ全員がベンチャー企業に入ったら成長するかっていうと、そんなことはなくて。当たり前ですけど、自分で本気で頑張って、トライアンドエラーをどれだけ繰り返したかが、結局は成長に直結するんですよ。

入ったはいいけど、先輩に言われたことしかやらないとか、自分から仕事を取りに行かないとか、求められた正解以上のものを出そうとしないとか、そういう人は成長できない。だから、「ベンチャー=成長できる」っていうのは間違いだと思いますね。

──じゃあ、ベンチャーに向いてる人って、どういうマインドで入ってくるべきなんですか?

ベンチャーに向いてる人っていうのは、「すべて自分のせい」って思える人です。

──すべて自分のせい、ですか?

はい。それが、さっき話した“ないことだらけ”の環境なんですよ。お金もない、人もいない、もう何もない。だからこそ、環境を整えようと思ったら、いくらでも言い訳はできるんです。「あの部署がダメだからうまくいかない」とか。

でも、それをちゃんと“自分ごと”として、「じゃあどうやったらそれを解決できるんだろう?」って考えられる人。そういうマインドを持てる人に尽きます。ベンチャーに向いてるのは、そういう人です。


自分に合ったベンチャーの見つけ方

──逆に、ベンチャーが向いてるって分かった上で、「どんなベンチャーがいいのか」とか、「おすすめのベンチャーの見つけ方」とかも知りたいですね。

ああ、なるほど。まず、自分がどうなりたいかっていうのを、ちゃんと可視化したほうがいいと思いますね。

ベンチャー企業っていっても、たとえば10人以下の超小規模なベンチャーもあれば、中規模、もっと大きいところもある。ステージが全然違うんですよ。

たとえば、「3年以内にCOOを目指したい」とか「起業したい」「起業に必要なスキルをなるべく早く身につけたい」っていう人なら、なるべく人数が少ないところがいい。具体的には、50人以下、できれば10人とかの方がいいと思います。

逆に、100人以上になってくると、もう組織がある程度出来上がっていて、いわゆる“上流の仕事”に触れにくくなっちゃう可能性があるんですよね。

でも一方で、「すぐに起業したいわけじゃないけど、大企業よりは早いスピード感で成長したい」とかなら、メガベンチャーでも全然いいと思います。100人〜1000人規模のベンチャーでもいい。

なので、自分がどのくらいのスパンで、どんな状態になりたいのかをちゃんと明確にしておいて、それに合わせて企業の人数規模とかを見るのがいいと思います。

──おすすめを探す前に、大前提として“自分の目的”と“そのための企業規模”を考えろってことですね。

はい、まさにそれです。当たり前なんですけど、上の方の役職、たとえば「起業したい」とか「COOになりたい」とか、そこに近づけば近づくほど、やっぱり人数が少ない会社のほうがいいです。

たとえば社員が5人しかいない会社だったら、単純計算でも「俺、取締役になれそうじゃん」ってなるわけです(笑)。でもその代わり、覚悟は必要。人数が少ないベンチャーの方が、間違いなく負荷は半端じゃない。だからリスクとリターンは、ちゃんと釣り合ってると思いますね。


誰と働くかがいちばん大事

──たとえば、同じような規模・フェーズのベンチャーが2つあったとして、どっちにするか悩んだらどうしたらいいですか?

これはもう「誰と働くか」ですね。よくある話ですけど、やっぱり「事業内容」で選んじゃうと、あとで事業がピボットしたりすると「あれ?話違うじゃん」ってなっちゃう。でも、人ってそんなに変わらないんですよ。

──確かに、人はそう簡単に変わらないですよね。

そう。だから、「誰と働くか」とか「尊敬できる人がいるか」「腹を割って話せる仲間がいるか」とか、そっちのほうが大事だと思います。

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