本日のテーマは、転職活動において苦手とする方が多い「適性検査SPI」についてお話しさせていただきます。よろしくお願いいたします。
「転職」となると、よく耳にするのがSPI適性検査ですよね。ただ、これがなかなか苦手で、しんどい・つらいと感じる方も多いのではないでしょうか。今回は、「どのように捉えれば、転職活動でうまく活かせるのか」という点も含めて、SPIについて簡単にお話しできればと思っています。
これから転職活動を始める方や、SPIにあまりなじみのない方は、「こんなものなのか」と大まかに理解していただければ幸いです。最後までご覧いただけますと嬉しいです。
SPI適性検査はすべての企業で実施されているわけではない
このSPI適性検査ですが、もちろんすべての企業で実施されているわけではありません。企業によっては、オリジナルの筆記試験を設けているところもありますし、「性格検査だけ」を行う企業もあります。
また、全く適性検査を行っていない企業も多く、書類選考と面接だけで判断するというケースも珍しくありません。ですので、「適性検査SPI=必ず実施されるもの」というわけではなく、もし出てきた場合には「こういうものなのか」とあらかじめ理解しておくとよいでしょう。
SPIは大手企業で多く使われている試験
この適性検査SPIは、特に大手企業でよく見られます。新卒の就職活動を経験された方にとっては、なじみのあるものかもしれません。
新卒のときにSPI対策の本を買って、ひたすら勉強したという経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。ですが、中にはそういった試験対策をせずに今まで来た方もいて、転職活動で初めてSPIに出会う、というケースもあるかと思います。
SPIの内容と出題傾向
SPIとは何かというと、書店で売られている参考書を見るとよくわかりますが、試験内容は大きく分けて「非言語」「言語」「性格」の3つです。
このうち「非言語」は、言葉ではない=いわゆる算数的・理系的な問題で、数学や論理思考に近いものが出題されます。一方、「言語」は国語や英語などの文系的な要素を問う問題です。
SPIではこの理系的な要素と文系的な要素の両方に加え、「性格検査」も行われます。企業側はこれらを総合的に判断して、応募者の適性を見極めようとしているのです。そのため、点数が良い人もいれば、全く手が出ないという人も出てくるのがこの試験の特徴です。
中途採用でSPIが出てくるタイミングとは?
では、転職、つまり中途採用の場合、SPIはどのタイミングで登場するのでしょうか。私が転職エージェントとしてご支援している中でも、いくつかのパターンがあります。
まず、企業によっては書類選考と同時にSPI受験を求められることがあります。この場合、SPIの結果と書類を合わせて総合的に判断されます。
つまり、書類がいくら良くても、SPIの点数が一定のラインを超えていなければ、その企業のボーダーに届かず、面接に進めないというケースもあるのです。この「基準ライン」は企業ごとに異なりますので、しっかり準備をして臨む必要があります。
適性検査(SPI)は企業によってタイミングも対応もバラバラ
書類選考については、基本的に消費者、つまり応募者が普通に行うものですが、一次面接の前に「まず適性検査を受けてください」と指示されるケースもあります。この適性検査の結果によって選考を通過できるかどうかが決まる企業もあれば、適性検査の合否にかかわらず、「面接と総合的に判断します」といったスタンスの企業もあります。
また、最終面接の前に適性検査やSPIが出てくるケースもあり、この段階で「とにかくクリアしないと最終面接が決まっていても取り消される」といった企業もあれば、選考の合否がこの検査だけで決まるわけではなく、「あくまで参考として総合評価します」という企業もあります。
このように、適性検査が選考プロセスのどの段階に出てくるのかは企業ごとにバラバラで、非常に悩ましいポイントでもあります。
SPIが苦手な人は、いつ勉強するべきか?
SPIが苦手という方は、「じゃあ、どこから勉強を始めたらいいのか?」というところで悩まれます。
私がこれまでご支援してきた方々の中には、「選考に受からないと勉強しても意味がない。せっかく勉強しても次の選考に進めなかったら無駄になる」と考える方もいらっしゃいました。一方で、「転職活動を始めた時点で、どこかの企業でSPIや適性検査が出るだろう」と想定して、事前に本を1冊買って、少しずつ勉強を始めるタイプの方もいます。
SPIの対策スケジュールは企業によって決められる
多くの場合、たとえば「書類選考に通過しました。次は面接の前にSPIを受けてください」と案内されます。この場合、企業側から受検の期限が指定されます。だいたい1週間から10日間くらいの間に「この日までに受けてください」と言われるのが一般的です。
たとえば、「面接の2日前までに受けてください」「前日までに受けてください」といった具体的な期限が設定されるので、そこから勉強を始めて1週間で詰め込む方が多い印象です。
期限付きの集中勉強にはメリットもある
こうした短期間での集中勉強にはメリットもあります。「これをクリアしないと次に進めない」とか「専攻が厳しくなる」といったプレッシャーがあることで、「もうやるしかない」と気持ちが入って集中できます。
その企業に「絶対行きたい!」という思いが強い方ほど、必死でSPIの勉強をして乗り越えていきます。
ただし、普段の仕事が非常に忙しくて時間が取れないと、準備が不十分なまま本番を迎えてしまい、「どうしよう…」となることもあります。
1週間で20時間取れるか?が判断基準
今この動画を見ている方の中で、「仮に1週間の猶予があったとして、自分は夜や昼、朝の時間を使えば勉強時間を確保できる」と思える方、たとえば「20時間くらいは作れる」という方であれば、その期間で集中して取り組めばいいと思います。
逆に、毎日帰宅が遅くて、休みも不安定だという方の場合、勉強時間がまったく取れない可能性もあります。そうなると、転職活動の中で適性検査やSPIを課す企業が1社くらいはあると想定して、転職活動を始めた段階から事前に本を買って準備しておくのが良いでしょう。
SPIであっても、別の形式の筆記試験であっても、問われる基礎力には共通点があるため、ベースの部分は大きくぶれることが少ないからです。
SPIで特に苦手とされる「非言語」分野
適性検査の中でも、特につまずく方が多いのは「非言語」の分野です。言語(国語)は比較的取り組みやすいのですが、非言語、つまり算数的な要素の問題が苦手な方が非常に多いのです。
たとえば確率の問題、時速の問題、図形の問題などが出てきます。「ああ、こんな感じかな」とイメージはできても、実際に問題を前にすると、勉強せずに解くのは難しいです。
年齢が上がるほど、勉強のリハビリが必要になる
新卒の頃にSPI対策をしていて、1~2年以内に再度転職活動するなら、頭の中に記憶が残っていて比較的スムーズに取り組めるでしょう。
しかし、私のように40代で、前回の転職から何年も経っていると、内容はすっかり抜けてしまっているんです。普段から使う機会がないですからね。だからこそ、改めて公式を覚えたり、パターンを理解して「慣れる」ことが必要になってきます。
問題集は1冊より複数を回転させるのが理想
算数や数学が苦手という方ほど、非言語分野を集中的に取り組む必要があります。学習法としては、問題集を1冊でもよいのですが、私は複数冊使った方が良いと思っています。
なぜかというと、同じ問題は本番では出てきませんが、出題の「パターン」や「傾向」は似ていることが多いからです。異なる問題集で同じテーマの問題でも、出し方が微妙に違ったりします。でも使う公式や考え方は同じです。そういったものに慣れるためにも、複数の問題集を使って、繰り返し解いていくのが理想的です。
7割を目指して、回転学習で慣れていく
初めのうちは答えを見ながら「こうやって解くんだな」と理解し、そこから徐々に問題を解けるようにしていきます。1回転、2回転、3回転と繰り返すことで慣れてきます。100点満点を目指す必要はありません。企業によっては7割くらいできれば十分というケースもありますし、中には半分程度で通過できる企業もあります。
少なくとも、「まったくできなかった」という状況は避けたいところです。
どうしてもSPIが嫌なら、SPIのない企業を選ぶ戦略もあり
最後に、どうしても「SPIや適性検査は無理だ」と思われる方は、戦略的に「SPIがない企業を選ぶ」という選択肢もあります。
中小企業の場合、SPIを導入するにもコストがかかるため、そもそもやっていない企業もありますし、簡易的なペーパーテストを行っている企業もあります。
ただ、どんな形であれ筆記試験があるなら、それに対応する勉強は必要になります。対策していないと、やはり解けないのが現実です。
私の実体験:中小企業と大手でのSPIの違い
私自身、20代のときに転職を経験しています。ある大手企業、誰もが知るような商業系の会社では、何百人と応募が集まって、SPIのような試験で算数・国語を一気に出題されました。
一方で、中小企業ではそうした試験がなく、1枚のオリジナルの紙に計算問題や国語的な問題、時事問題などがまとめられたものを使っていました。
そのとき特に困ったのが、「世界各国の通貨単位」の問題でした。日本なら「円」ですが、外国の通貨単位が10カ国分くらい出てきて、まったくノーマークだったので焦りましたね。あとは単純な計算問題や国語の問題もありました。